真空マニホールドっぽく動けばいいんだよ!

 この場所にある道具で頭を使って最大限の効率を考えた仕事を。というのが最先端ということです。それでいいんだ!俺がルール!つうかこの国の規定は君たちが作るんだろう?
というわけでEPAそっちのけでJISに沿った分析法を覚えてもらおうとしています。EPAは私にやさしくないから。まあJISにも拘泥するつもりはないけど、この国は君たちの国なんだから、君たちがルールでいいんだよ。状況にあわせて変わっていく方法が正しい方法なんだよ。← 言い訳 
 2013年度のバジェットで濃縮装置を買うとしたらどこのがいい?と聞かれたので、国家予算の使用先を私に聞いてどうすんだ!という突っ込みはほっておいて、EYELA(東京理化機器株式会社)のにしなよ!と日本メーカーを進めました。EYELAの人、営業したので1台ロータリーエバポをください。2台目、3台目もこの国にはEYELAが入ると見込んで、1台カンボジア環境省に提供してください(注1)。

 さて、与太話はともかく、環境中の化学物質を測る、ということを考えたときに、作業としてすごーく大雑把に言えば、
取り出して → 余計なものを取り除いて → 測れる濃度にする
となります。これをちょっぴり専門用語で言えば
抽出 → 精製 → 濃縮
となります。まあ実際には必要な過程で濃縮が何回か作業に入ったり、精製や抽出の方法もものによって変わるわけです。で、この作業を測定前の前処理、といいます。
化学物質は微量なので、測定は、ものさしで長さ測る、みたいな単純なわけに行きません。前処理作業にはそれなりの訓練と知識を必要とするのです。

 スタンダードな分析の流れのほかに、より簡便になった方法もあり、少し高価ですが精製を簡単にしたり、抽出から精製をいっぺんにやってくれる手法などがあります。カンボジアの水に対応できるか不安があったので、ラボの人には事情を先に説明せず、確認してみようと思っていくつか必要なものを持ち込んだ。簡単な方法を期待させてだめだとつらいし、スタンダードな方法を覚えてもらわないといろんな対応ができないし(注2)。

 で、写真がこちらでその手法を試すために私が頭をひねった結果。なんだいな、という画像ですが、見る人がみるとわかる、これは桐山ロートをバキュームポンプにつないでカートリッジをセットした、なおかつフローコントロールバルブもつけた、つまるところ真空マニホールド、という装置の代わりになるものなのです。だって真空マニホールドを買うお金がないの。ガラス箱のくせに(暴言)高いんだよ!だから頭をひねった結果、画像のような構成になった。こちらで組み立てて、動かして、うまくいったとき思わず拍手してしまった。同僚は不思議そうな目で見てた。「日本ではこれをつかうのか?」と聞かれたので、「こんな仕組みは世界中でここだけだからある意味最先端だぜ!」と騙しておきました。実際違いは、真空マニホールドはパラレルな作業が可能だが私の装置は一度に1個しかできない(実際には桐山が2つあるからつなげば2個動くか)というくらいだ。ということにしとこう。動けばいいんだ。おっぱにはー(注3)。

注1 EYELAはベトナム(だったか?タイだったか?)に現地法人がありこちらでも装置が購入できるが、試薬、溶媒など日本の物をほしがっても手に入らない。日本の会社の人、アジアで販売する気になってください。確かに今はペイしないかもですけど、いまんとこ主流はヨーロッパ、アメリカ、カナダなどのメーカーですけど、そのうちぜったい中国とかでてくるよ。なんで日本の物を売ろうと思ってくれないのかなー。
注2 これについては別記します。カンボジア人、とても物分りがよくて助かっています。
注3 こちらにいる人ならわかってくれるだろう、こちらで生活するのに一番役に立つ言葉。直訳すれば、「ぱにゃはー=こまった」に否定の「おっ」がついているので、「マイペンライ、もうまんたい、なんくるないさー」、みたいな意味でしょうが、わたしのなかの日本語では「しょうがないしょうがない、次!」ということになっています。