あの辺で雨が降ってた

さて、プノンペン、在外派遣制度での滞在、最後の更新です。10ヶ月、全て、一日一日が本当に長かった。終わったらあっという間と言うけれど、なんと重い時間だったろう。
このブログはもともと、日本の職場の同僚に、プノンペンで生きてます、を伝えるためのものでしたが、なんだかんだと学校関係者以外にも読んでくださった方がいたらしく、カンボジア環境省を訪ねてこられた方に、ブログ書いてますか?と言われ思わず嘘を言いたくなったり(正直に書いてますといいましたけど)、思わぬ国々から連絡をもらったり、とそれなりにいろんなことがありました。まあ、私への直接のコンタクトは本当に非常にわずかで、連絡をくださった方の名前を全部言えるくらいなんですけど、それでも私の書いた情報でカンボジアに興味をもったり環境省の仕事を面白がってくださってうれしかったです。ありがとうございました。

私は日本に戻ったら、職場である学校で学生とたわむれたり研究に戻ったりするのですが、このブログはカンボジア滞在ブログ、なので、これまでのようには更新しません。たまーに、カンボジアでの体験で書き残していたことを(もちろん書き切れるはずも無くたくさんあるのです)、ひまなときに書き加えたりするかもしれませんが、日本に戻ったら日本の生活でいつもの学生と戯れなけりゃなりません。

余談ですが、学生も、学校での研究生活も楽しいのですよ。私の学校は理系のためほぼ男子校、年頃が集まっている割には無邪気であんまりとがったりうがったところのない素直な学生がたくさんいると思います。最終回に関係ないけど、学生とのエピソードなどなぜか紹介してみようか。だってねえ、カンボジアの思い出を振り返っていると泣きそうなので、先にあるだろうことを眺めてみようかなって。

1 学生食堂では、昨今の「食育」の一環なのか、食材のピックアップやその栄養素、調理法、産地などを紹介したフライヤーや冊子の様なものを配っていることがある。ある日昼ご飯を食べに行って、それをもらって帰ってきた研究室の学生が、突然つぶやいた。
「鰹かあ・・・おいしそうだなー、いいなあ。お酒にもあうよねえ。いいなあ。俺も さかり の鰹が食べたいよ!」・・・さかりの鰹ってなんだよ!それは「旬」だ!そこのところの日本語は、「旬の鰹が食べたいよ!」だ。うちの子たちは、ちょっと国語ができないよな、彼の名誉のために言えば、複素関数もフーリエも得意なんだけどな、日本語がちょっと苦手だよなあ。

2 卒論仮提出の原稿を、修正で真っ赤にして返されたためにちょっと涙目の学生、わたしに「あとちょっとなんだからがんばるんだよ!」と言われると、「だって、先生、俺あれなんだ、だめなんだ、あれがわからないんだ」とわたしにもなんだかわからないことをしどろもどろにいう。うんうん、なにがダメなんだかほんとにわからないよ。しばらく待っていると、「えーと、国語の、あれ、・・・はにへと?」はにへと・・・?
・・・・てにをは!てにをはだー!うん、なんか新しい、「はにへと」は新しいけど、「てにをは」がダメだ、を言えないのに脱力。わかったけど、やっぱり頑張って。君は測量とかは得意なのになあ・・・。

・・・こんなことがまた起こるだろう先のことを眺めていて良いのだろうか。本当に良いのだろうか。
いろんな爆笑エピソードと伝説を残していってくれる学生たちは、就職してちゃんとやっているみたいです。よかった。君たちのエピソード、もう卒業しちゃったし時効だよね。さて、日本に帰ったら、またこんな楽しいことがあるでしょう。カンボジアを去りがたいのは事実ですが、ずっといられないのもまた事実。夏休みはずっとつづかないから。夏休みはずっとつづかなくても、カンボジアにはまた戻ってくるし、次の調査滞在では、また突然の更新が・・・あったりしますよ、たぶん。

さて、画像はどうしたものか相当迷って、結局こういうことだったかな、と、風の通る涼み小屋のハンモックで、アンコールビールの午後、な一枚を。こんな滞在だった。