エアコンの低機能化による高機能化(ついでに軽量化)

 今日も分析の、測定の打ち合わせ。ラボの若手の筆頭に、英語のマニュアルのイントロをクメール語に翻訳!という仕事をお願いしたので(むしろ強制)、どんな調子か、とかやってたんだけど、2人して一息つくと出る言葉は「くだう・・・/あつい・・・」

だってこのオフィス、エアコンが壊れているんです。どうなってんだ、某日本メーカーのエアコン!日本製は壊れないんじゃないのかよーう。タイマー機能が変な風に働いて、15分しか部屋を冷やしてくれない。なんだ、勝手にエコ仕様か。

一年で一番暑いカンボジアでエコ仕様でいられると、おかしくなったエアコンにつられて人間がおかしくなってしまうので、とうとう修理依頼がでた。で、来たエンジニアがした仕事がちょっとすごい。なんつうかもう、これは修理ではなく、思い切った低機能化。そしてその結果、これは壊れない確かに!という工事。


 まずエアコンを開ける、心臓部から回路を全部引っこ抜く、つまりメインボードを取り外す。冷やす仕組み、だけの機能を直に電源につなぐ(ディソンターへ)。基盤から何からすべて、サーモスタットもタイマーもリモコンの受信センサーも全部引っこ抜かれた箱(ただし冷やせる)になったエアコンができるのは、電源が入ったら冷風を送る、電源が切られたら冷風を止める、という2つの機能のみ。

・・・は!これは回らない扇風機だ!温度変更できません。タイマー設定できません。エコパトロールとかドライ機能とか知りません。ただし冷風を送ることが出来ます。

大学の恩師が、「最近の分析装置って、ユーザーフレンドリーとか言って、いろいろしてくれるようになってるけど、ひとつ壊れると全部使えなくなっちゃう。大学の分析装置はさあ、学生がいろいろで乱暴な使い方されるんだから、測定の基本原理だけを説明できれば、低機能、頑丈、長寿命を目指してほしいんだよねえ」とおっしゃっていたが、それがこれか!←違う。

省エネとかの事情はわかりませんが、個人的にはこの暑さを乗り切るエアコンの使い方が出来ればそれでいいです。回路引っこ抜いたから思わぬ軽量化も実現!リモコンも使えないからなくしたって平気!涼しくなったらブレーカーを落とし、暑くなったらブレーカーを上げる。明るくなったら働いて暗くなったら寝る(関係ない)。低機能化によるラボの高機能化、ということでこれでおっぱにはー。なんかもう軽く自棄。

注1 画像の説明。思い切りの良いエンジニア。引っこ抜かれるボード。この状態でテスターぶら下げて、動いてるエアコン。現状はこれにカバーついてるだけです。なんかもう、メーカーの方、すみません。でも最先端技術、ってなんだろう。「最先端」は世界の最先端でも世界中で最先端じゃないんです。機能するところでのみ最先端。だから見方によっては、種類によっては、技術に必要なのは普遍性でなく属地性。