冷却水循環装置を入手しないとですよ

  先に紹介した「実験器具作るよー」でKD濃縮装置の架台、というのを製作していましたが、実際にKD濃縮装置を動かすにはさらに冷却装置が必要になります。溶媒を蒸発させてそれを回収する部分を冷やす仕組みが必要になる。そこで日本でなら冷却水循環装置が登場します。熱交換で数リットルの水(液体)がー5℃から40℃くらいまで(温度は用途によりいろいろ)で温度管理できて冷やせる部分と、3メートルくらいの揚程のポンプが一緒になった、大きさ様々ですが四角い箱、です。私が自分の日本のラボで使っているのは15万くらいの小さいもの(注1)。と言う具合でまあ、こちらで手に入るのは無理だろな、と思っていたのでいくつか方法を考えた。
一番簡単なのは、スチロールの箱に水を入れて、ウォーターポンプを放り込んでチューブで接続しポンプ任せに回す方法。そこに温度計をさしておいて、定期的に市場で買ってきた氷を加える(人海戦術)。一方でどこかで「冷たい水が作れる装置」がそれなりの値段で買えるのではないかなあ、という期待も捨てておらず、その辺は休日に市場をうろうろしてみよう、と思っている(注2)。さて、装置をひとつ考えるなら、私が考えたってしょうがないので、ラボの同僚と、KDをいじりながら、ここの部分にこれを冷やす仕組みがいるんだよ、使うのは溶媒で今回はジクロロメタンとヘキサンだから、蒸気圧曲線からして温度としてはこのくらいの低さの管理が必要で・・・・、と言うような話を、あーでもないこーでもない、していた。していた最中、相談を始めて15分くらい、「どうしよう?ポンプ見に行く?」という私の質問に対する返答がこちらです。

「かふぇ?」

私は、いま、冷却水循環装置について話をしていたんだけど?君も話をしていたんだけど?先のクメール正月の話じゃないが、このカンボジア人も唐突過ぎる。何をどうやったらコーヒーの話になったんだ!で、「いま冷却水循環の話をしていたよね?」と聞くと、「もちろんだ、でもかふぇにいこう、だってラボのみんながみんなかふぇにいくって言ってる。かふぇディスカッションしよう。」と。
わたしはクメール語がわからず気づかなかったのですが、私と同僚のはなしの裏で、ほかの面子がコーヒーの話をしていたらしく、英語で私と話しながら、同僚はコーヒーが気になってしかたなかったようだ。

冷却水循環装置、クメールコーヒーに阻まれてペンディング。ラボメンバー全員で10名のティータイム。かふぇの妨害は威力絶大。

ちなみに結局冷却システムは「まず水道水で冷却できるか試す」という一番安上がりな方法に。ポンプを買う前に水道水の圧力に頼ろう!とか。物事の決まり方を一番に律するのはお金。その事情は私のラボもここも一緒。ディレクターに「何度の水が必要か」と聞かれ「5℃!」と言ったら、即座に「ここじゃ無理だな」と言われました。わかってます!

注1 冷却水循環装置の説明はかなり適当です。私のラボに有るものについて簡単に述べました。15万は一番安い枠くらいの装置ではないかなあ。
注2 市場には本当になんでもあるな、と思うので、ちゃんと探せれば装置自体が組みたたる可能性がありますが、市場では英語が通じないのもまた現実。市内いろんなレストランの表に大量の魚が生簀のように水槽に泳いでいるのに、水を冷やす仕組みがないはずがないんだけどなあ、と思っています。でも電気屋の彼に「冷やす装置」の説明がうまくできなかったんです。こうなるとMoEで探すのはお手上げ。RUPPや農水省のラボではベトナム製を使ってたしなあ・・・。
注3 画像は私の愛するでも私の邪魔をするカフェークマウ。つれないやつめ。クマウはこちらで「黒」と言う意味、つまりブラックコーヒーです。「かふぇ」とひらがなでかいてますが、この書き方が一番こちらの人の発音に近いように思うのです。