そりゃあそうですよねぇ。

 メールを下さった方にご指摘を受け、そうか、そりゃあそうですよね、と気づいたのが、そもそもなんでカンボジア環境省にいて、何をしているん?ということ。たしかに、ブログではいきなりカンボジアに到着し(注1)、私が何でいるのかは一切書いてなくて、書いていることといえば妙にマニアックな装置とか、同僚との漫才とか。なので、簡単では在りますが、上記の内容を満たすべく、の文章を書かせていただきます。ええ、いまさら。

日本での本職は、某高等教育機関の教員です。何度か書いていますが、専門は土木の河川工学、水理学、水環境工学などで博士号は工学です。日本で在職の機関の、「1ヶ月以上、一年以内で諸外国に滞在し、最先端の技術、研究の現場にて勉強をし、戻ってから日本での研究、教育に役立ててください」という、素敵システムにより、カンボジアに10ヶ月ほど滞在することになりました。受け入れ先はカンボジア環境省(画像上)、で、いままさにその最中。

さて、何でカンボジアか、といったら、いろいろ理由はつけられるのですが、滞在したかったから、です。・・・きゃー、怒らないで!
滞在申請を出すとき、研究内容や滞在先などによって、現職場の先生、前職の上席研究員、大学の恩師、いろいろなつてを頼り、いくつかピックアップできました。そのひとつがカンボジア環境省です。ほかにもタイ、イギリスの大学、とか、オーストラリアの研究機関、とか候補にはいただいていました。えー、英語への苦手意識により少し腰が引けた、という弱気な理由は若干隠しておきたかったのですが、一方で、「行かないと、そこにいないと、そこで何かしないとわからないこと」のウェイトがどう比べてもカンボジアが一番大きいんだないかな、と思ったことが決定の一番の理由です。

その昔日本の新聞記事だったか、若者の旅離れ、と言うようなものを読んだとき、意見のひとつとして「15万円あったら旅に出るよりPCを買う。PCから、インターネットから得られる情報のほうが、何倍もある気がする」というのがありました。否定はしません。インターネットから得られる情報は、それは多いし、自分も今こうして情報発信している。インターネットで得られる情報がすべてならその国に行く必要ないな。
でもなあ、そんなはずないってちょっと考えればわかるよなあ。それにその方法で得られる情報の量や質は場所によって当然すごい変わる。

自分の居場所を変えるっていうのは、否応なしにその環境から暴露されるって言うことで、だから好き嫌いで情報の選択が出来ない。毎日いろんなことが起こるし、そのすべてが自分ではコントロールできない。でもがんばってみる。そこで今起きていること、その情報を、自分のものとして噛み砕くこと、それが最先端の出来事に触れるってことで、そうしてやっと人に話せる(注2)。インターネットから得られる情報のみで、人とコミュニケーションをとるのはどうなんかなぁ・・・。じゃあインターネットで情報の得られない場所にこそ居る(行く)意味があるのかな?というわけで、カンボジア。はいそこ、理由後付けとか思っても言わない。
居ないと出来ないことがあるのはこの国だから、思いもかけないことが、自分の常識の通じないことが日々起こるのはこの国だから、とやっぱり滞在して思っています。不思議の王国カンボジア(注3)。

最後に簡単ですが、私がこの10ヶ月間でや(ろうとしてい)ることは、環境省のラボに2008年に設置されたまま今日まで動かない状態でいた、GC/MS(ガスクロマトグラフ/質量分析計:通称 ガスマス)という、そうだなあ、たぶん日本円で2000万円くらいのそこそこ大きい装置を使って、カンボジア国内の環境汚染物質の測定をすることです。主に河川や湖沼(注4)など、水域における化学物質、農薬やパーソナルケアプロダクツ(化粧品とか医薬品とか)、そういった、経済発展や人口増加につれて使用量が増え、環境への負担が問題となるであろう物質の測定環境を、同僚とともに、ボスにいろいろお願いしながら、出来る限り低予算で整え、実際に現状の測定をする!突然やってきた日本人、お金がかかってすみません・・・←カンボジアの人への謝罪。
個人的な研究の話としては水資源系や水文モデルをやってるカンボジア人の友達が出来たりとか、北の山間部で問題になってる水銀の話とか、イルカなんで死んでしまうん・・・?とかあるんですが、このブログではGC/MS、それを使った化学物質測定のみに話を絞ろうとおもいます。

えーと、こんなんで大丈夫なんでしょうか。ブログなのにコメント欄等を設けない横暴さですみません。あ、あと画像がちっさい、というご指摘は、これはネット環境の関係で出来るだけちっさくしてアップロードしているんです。これもまたすみません。そんなわけですが、相変わらずの調子で、カンボジアで生きてますよ!を発信しますので今後ともどうぞよろしく。

注1 そもそも書き始めた経緯が、なんか結構毎日いろいろ起こるし、日本の同僚に状況報告みたいなことしてみよう、だったので、書き出しとか何にも考えなかったんですよね。こっちで生きてます!くらいの勢いで。強いて考えたとすれば、学生の目に触れることを想定し、法に触れることを書かない、とか・・・?
注2 情報は私フィルターでもちろん偏っています。一人の人間が住んでいるくらいで得られる情報なんか本当にわずかですよ。それでも、体験したことには伝聞とは違う事実がある。カンボジアの蚊に刺されると痒いですよ!
注3 私が言ってるんじゃないです。自分たちで言っちゃってんです、この国。証拠画像は道路の横断幕。でもそんなに不思議なことない、こっちの方が普通だと思う。世界中で一番不思議の国は間違いなく日本だ!・・・とか言っちゃうから、こっちの友人に、あんた、日本ですごく浮いてただろ、とかいわれるのです。うぅ、そんなことないよ!
注4 ご存知トンレサップ湖は、ご存知アンコールワットの街の脇から広がるアジア最大の湖です。宝の湖。