運動会の練習と牛

 さて、これから農耕祭のことを書くんです。農耕祭は毎年5月に行われる王室主催のイベントで、今年は5月9日でした。7日に休日出勤したときに、同僚が準備していたブースのあるイベントです。8日に通常勤務していたら、突然電話がかかっていきて、「お前暇なら農耕祭の準備をしているから見に来い!」といわれた。カンボジア人に暇と断定された・・・。暇じゃないけど行くよ、というと、「若手くんに乗せてきてもらえ」と言われる(バイクで)。若手君に聞いたら、「んー、今この書類書いてるんだけど、わかった、11時までに終わらせるからそしたら一緒に行こう」と言われ、カンボジア人の仕事が終わるのをまつ。・・・なんだよ、本当に私だけが暇人のようじゃあないか。

同僚と4人でエンジニアの仕事を冷やかしに(手伝わない)。ついでにほかのブースを見る。エンジニアが紹介してくれた、農水省のイケメンエリートから、農耕祭は今年の作物の出来を牛が占うイベント、ぜんぜん科学的じゃないけどね!(注1)というかなりざっくりした説明を受ける。ちなみに農水省の方は日本で学位を取ってそのため3年住んでいた、と聞いたので、そう紹介されたので、日本語の説明が聞けるのかと思ったら、ものすごーく流暢なネイティブスピードの英語でした。そうかそうか、君の大学に日本語はいらなかったろうな。むうー、私には難しすぎる!と開き直ったら若手君が私にわかる英語で再度説明をしてくれた。若手君はそれが出来るからすごい。というか私の英語が甘やかされ上達しない。彼が言うに、王室の飼っている牛(!)が作物を食べたらその作物が今年は豊作だって。なんて平和なイベントなんだ・・・。てゆうか王室のペットは牛か。

ブースには24の州の特産品が並べられ、陶器はコンポンチャムだな、とか、宝石はパイリンだな、とか有名どころはわかる。個人的にプレアヴィヒアの農作物とケップの亀がすごいと思った。亀!海亀が連れてこられている!かごの上に申し訳程度に凍ったペットボトルが置いてあるが、大丈夫なのか、この亀は明日まで生きていられますか。同僚は亀のかごに入った蟹をみて、あれはうまい、と言っていた。亀も食うのか・・・?(注2)
州のならびに各省のブース、農水省を筆頭に環境省も、あと通信省とか(携帯のキャリア、すごい数なんです)。どうやらイベントにいらした偉い方がここを眺めるんだね。

 イベント当日は朝から友人と会場で野次馬。学生が一杯で、あとは会場には制服組。白色、カーキ色、紺色、いろんな制服のびしっと帽子もかぶって整列。普段あまり見ない白バイも列をなして王さまの先導。風景はすごく鮮やかで、暑さと音とでぼーっとして、現実ではない何かを見ているようだ。でもなんか、ユルイ。警備員がいつになくちゃんと仕事をしているが、会場も裏に回ると人がだらだら入ったり出たり。気が向いた人だけ止める、みたいな仕事がさすがだなあ・・・。さて、タイトルにもどって、牛がメインのイベントですが、この牛、友人によると、毎朝この会場で、会場をぐるぐるまわる練習をしていたそうな。練習が終わるとのんびり王宮に帰っていく。それを聞いた私が「それは小学校の運動会の練習のようだわね・・・」と思っていたら、となりで友人が、「運動会みたいですよ」と。日本人の考えることはみんな一緒か。

びしっとしてかっこいいじゃない、と思ってた白バイ警官も制服の皆さんも全体的に暑さにやられ木陰に固まる。周辺の食堂はコーヒーを飲む警官であふれかえる。友人の職場の前では各国の大使館からか?来賓を乗せてきたらしい高級車にそれぞれの国の旗をつけた車の運転手が、ボスを待つ間暇なのでトランプ遊び(賭け事)に興じる。イベント見学に疲れた私はリバーサイドで一休みして、最後にコンポンチュナンのブースで陶器を買って帰りました。すごいかわいい!あれもこれもほしい!と思ったけど、日本に持って帰るのがこれ以上に大変なものもそうないだろう、とおもい泣く泣くあきらめました(一番大きいのが直径20cm位)。画像の3つで200円ちょっとです。ほしくなる気もわかってほしい。

イベント自体の平和な意味も、式典の進行も、それぞれの州のブースの特産品も、なんかゆったりしてのんびりして、よいなあ・・・というイベントでした。
あ、練習をさせられるのが牛だけって言うのもすごい。ちなみに、今年の牛は豆ととうもろこしを食べた、あと水も、と同僚に言われたが、水ってなんだ。それは暑いかったんだろう。あと「コメには少し問題があるんだって」と。洪水の予知か?「でもねえ、ぷらいみにすたが信じないでね、って言ってたよ」と。
!!!ええぇ、首相、王室行事一蹴ですか・・・。

注1 農水省のエリートのくせに、高級官僚になるはずなのに、科学者らしい彼は、占いってゆうかねえ・・・実際作物の生産量はそんなんで決まらないよね、みたいな言いようでした。その理系スタンスは大好きですが、王室イベントなのに!と思ったけど、首相が「信じないでいいよ」とか言っちゃうならなあ・・・。この国はやっぱり不思議の国かも。

注2 カンボジア人亀たべるらしい。でもフォーマルではないらしい。日本でも小笠原だと食べますよね。似たような仕組みだろうか。日本人も食うだろう、ベリー高いね?(原文ママ)といわれました。たしかに小笠原で海がめの缶詰、1200円とかね。日本に言ったことのある同僚たちは、「ベリー高い!」「おはようじゃます!」「ナンデ!」などの!マークがつく日本語が得意です。いや、わたしが勝手につけてるのか。負けずに「ありがと ちゅらん!」といいます。ウケます。(ちゅらんは、とても、とか、いっぱい、です)

追記: この式典に参加するためクラチエ州からプノンペンに向かっていた州知事が自動車の事故で亡くなられた、という痛ましいことがあったそうです。謹んでお悔やみ申し上げます。