家を買いなさいよ!

 いつものように(になってしまっている)同僚とコーヒーで、放課後じゃないけどティータイム。話題は毎回いろいろだが、今回はなぜか税金について、だったらしい。チーフが、今彼らは税金について話している、と教えてくれた。まあ、話題が何であれ私には大概わかりはしないのだ。

 税金の話から流れて突然、同僚が、お前家を買え!と振ってきた。・・・カンボジア人の唐突さに慣れたつもりでいたが嘘でした。ぜんぜん慣れてません。
ええとね、まず、日本人がみんな金持ちと思うのは間違いだ。それから私がここに家を買ってもしょうがないでしょ。それに外国人は土地付きの家は買えません。てゆうか私日本に帰るからね?恩師の、「君、本当に日本に帰ってこられるのかね」という冗談が冗談でなくなってしまう。なんで急に家を買えとか言い出しているのか。

 実は環境省が秋に引越しをするらしい。職場の引越しと言うのが実に大変であろうことは想像に難くないし、その間仕事進まないだろうから、出来ることならいる間に引越しをしてほしくはなかったが、現地では予定外なことに予定通りの工期で工事が進んでいるらしい(注1)。
 現在の、東京で言えば千代田区、から、東京で言えば立川(注2)、あたりになるのか、引越しをするのです。移転先は最近開発著しい場所、宅地もたくさん分譲されていて、建設ラッシュ、だからその新しい家を買えよ、というのが同僚の提案だったようだ。
 はい、もう一回言うよ。マンションの上層階ならともかく、外国人は土地と土地のついた建物は買えません。なぜわざわざフラットハウスを進めるのよ。聞くと「新しい環境省の建物のそばにはフラットハウスいっぱい建ってるから」と。ああ、そうだ、さっきそう言われたね、つまり君は、私に家を勧めている、んでなくて、私に新しい環境省のそばに住む、ことを勧めているな・・・?私は日本人で買えないから、カンボジア人のお前が買って私にくれ、と言ったら真顔で、そんなお金ないよ!と言われた。いや、冗談だってば。カンボジア人、お金が絡むと冗談が通じない。

そもそも、日本人にお前家を買えよ!っていうのが冗談なんだろう、と思われるかも知れませんが、結構本気なんですよ、勧めていることは。このくらいで買える!とカフェをすすりながらティッシュに価格を書く同僚。画像、あえて通貨単位を説明しませんので価格はご想像にお任せします。夢のマイホーム・・・カンボジアで・・・とか私も白昼夢を見ている場合ではない。いや、ちゃんと日本帰りますから。

注1 建設工事、工期は出来るまで、という返事が返ってきたという伝説もこの国にはあったとかなかったとか。工期、出来るまで、って。斬新だ。

注2 立川に特別な意味があるわけではないです。立川在住の人(がこれを見ることはまずなさそうだけど)気を悪くする書き方だったらごめんなさい。こちらの省庁移転と似たような仕組み(省庁を都心から郊外に移し都心の一等地を空けよう)で、日本でお世話になっている統計数理研究所が、広尾から立川に移転したので、その頭で書きました。立川自体は結構好きです。あの建物は見えるのに歩けども歩けどもたどり着けない、つくば市とよく似たところが。