ため息書かせて

同僚から「作業内容の報告書を月イチペースで提出するようにだって」と言われる。ふんふん、そうだね、仕事内容の報告したほうがいいよね、と思っていたのでうなずきながら・・・でも報告書の体裁もなにもわからない。聞くと「English styleで!3人(私と若手と卵屋(注1))で出すから、おれたちクメール語に訳すから」という。英語のスタイルっていうのもわからんけど。とゆうかほんとにクメール語の必要あるのか?君らも君らの担当作業分を書けよ!そんなわけでとりあえずこちらについてからの仕事を、作業ノートから全部、時系列と作業別に分けてピックアップ。そんな作業をしていたら、まあ、悲しくなるくらい失敗が大量に記録されている。

そうなの。たとえばここに書くのに、どれだけの作業をどれだけ失敗したか、どれだけ議論をしてから作業が始まって、それでもうまくいかずに議論をはじめからやり直したか、うまく動くまでにどんな日数がかかったか、必要物品の買出しに半日街をバイクでさまよい何度倒れそうになったか、思ったとおりには組みあがらずとりあえずの手を打ってどんな敗北感を感じたか、そんなことは書くわけがないのです。成功の裏に、その数十倍の失敗とかけた時間あり、なんです。まあ、報告書にもそんなことはいらないのですが、読み返していたらあんまり切なくなるので今日は少し、ため息書かせて。

●ひどく敗北感を感じた、高純度ガスのレギュレータとのジョイントの一件

GCMSでの測定のための前処理の過程で、分析に高純度窒素ガスを使います。人の背の長けより少し低いくらいの、ガスボンベに詰まっているやつです。プロパンガスボンベを想像してもらえばいいかと。このガスボンベからガスを必要な圧力で取り出すために、レギュレータというバルブを接続して圧力調整(流量調整)します。
今回使うのは非常に小さな流量での作業なので、それに合うようなレギュレータを日本から持ち込んでいた。そのときには、ガスの口が世界中でぜんぜん違っていろいろなんだ、なんてことはまったく思いもしなかったんですよ。で、ガスがタイから届いたはいいけど、持ち込んだレギュレータがまるっきりつなげない。レギュレータの接続口もメスで、ガスの口もメスなんだもん。つながるわけないんだもん。

問題発覚からとりあえずの対処を取ったまで、作業の流れをダイジェストで。思い入れにより記述の詳細さが異なります。

1.レギュレータがつなげない → 2.同僚に説明しジョイントを探す(街中の水道屋、ガス屋、市場) →3.市場で大量に詰まれるジョイント部品からやっと見つけたと思ったらサイズ違い → 4.買いなおしにいくも市場、5時でしまる。 → 5.出直しで探すもサイズが見つからない → 6.もっと集まる市場を知ると言う同僚に頼む → 7.やっぱり入らない → 8.一回り大きいサイズから町工場で削りだしてもらう。 → 9.削ったのと逆サイドが長すぎてレギュレータに合わない → 10.もう一度町工場に持ち込む → 11.町工場でもうっかい削りだす前の部品を市場で探せと言われる → 12.再度の削りだし → 13.微妙に小さいような気もするがシールテープと高真空グリースで補修 → 14.長さが足りていないことが判明、わずかなリークが発生する → 15.手持ちのシリコン栓からシリコンパッキン作成 → 16.強度が足りず使えない → 17.シリコン系接着剤やシーリングの案が出るも、試料へのコンタミ(コンタミネーション:汚染)になることを考え却下 
→ 結果:持ち込んだレギュレータを使うことを断念

結局これだけやって、持ち込んだレギュレータを使うことを断念。泣く泣く断念。休日の多い5月の事情にも阻まれ、全体で2週間以上の時間がかかってる。お前の考えと計画が甘いとか作業効率が悪いとかいう意見は自分で良くわかってるので聞きません!
とにかくここでは類似のレギュレータ自体が手に入らないので、とりあえず、GCMSの隣の現状使えないATD(故障中)に使用されていた低純度窒素に接続していたレギュレータ、を暫定的に借りて、二次圧の調整(流量の微量調整)がまったく聞かないまま時々圧でポコン!ポコン!という音をさせながら使ってます。
仕方ない、それでもいい、馬鹿高い高純度窒素を、リークで失ってしまうよりは。ムキー!でもリベンジには、せめてノギスを、L字定規をを使わせて!接続口のサイズをバーニヤで読ませて!素敵工具が恋しい・・・。

注1 若手君はさきにも書いたように装置オペレーションの専門に抜擢。卵屋の同僚は、ポンティアコーンのプロフェッショナルなのはおいといて、今回前処理分析の専門に私が勝手に指名。まあ、どっちの同僚にもどっちも出来てもらうように。あとエンジニアにも、分析装置の仕組みが通じやすそうだから引っ張ってきて説明を聞かす。
注2 あとになり、市場で日本製ノギスを発見。でも市場で某国製の4倍の値段がした日本製ノギス。日本で買うよりたっかいよ!とおもったけど、よくよく考えれば海外製品が輸入されてきて高いのって当たり前なんだよね・・・感覚が良くわからなくなっていると言うか。
注3 画像は私を悩ませたガスラインと、削り出しをしてくれた町工場。ジョイントのリークは彼らのスキルのせいではありません。初めに持ち込んだ部品の仕様の問題だと思う。装置の準備は10歳くらいの少年がしてた。学校とは別に手伝わされているのだろう、手際がすごく良い。まさに実学。
現状の接続はとりあえず、だから、絶対これからリベンジするぜ。・・・・やっぱり切ないのはこんな過程はレポートには組み込まれないってことだなぁ。