日本人は川に水汲みに

やっとのことで川に水汲みに行ってきました。やっとのことで、というのは、同僚が毎月地方河川の定点観測のための採水に行っていると聞いてから、しつこく私も連れて行ってーとお願いしていたから。4月にその話を聞いて、4月、5月とサンプルを送ってもらったから無いよ、と言われていたのだが、先日突然、明日水汲みに行くぞ、お前も行くか、と言われた。
行く!行きますよ!「じゃあコンポントムとコンポンチャムにいくから、明日9時くらいにでるから」(注1)と予定を告げられ、次の日うきうき出勤する。だってフィールドワークは楽しいもの。1泊するかもしれない、と聞いていたが、するかもしれない、とはなんだろう?と思いながら、いつもの出勤リュックにTシャツを一枚追加する。1泊ならこれで十分だ。どうせ作業着だし。

荷物を車に積み込んで(注2)、同僚二人と6号線をコンポントムへ。プノンペンから離れた方が道の状態がよくて、ちょっと不思議・・・と思いながら進むこと、コンポントムの40キロほど手前、とつぜん一人の同僚が降りた。??聞くと、一人はここで土地利用図の関係の仕事をする必要があり、終わった時間によってコンポントムかプノンペンかどっちに向かうか決めるという。そうですか。そういえば基本的にスケジュールを何も知らないな、わたし。
コンポントムについて、お昼ご飯を食べながら、今日はこのホテルか、向かいのホテルに泊まるけどいいか?と聞かれる。泊まりのスケジュールになったらしい。いいよー。出張に出発して現地に到着して、それから日程が決まる、カンボジアですから。そういうものですから。ちなみに同僚の1泊荷物は買い物袋に入ってた。南国はお手軽だ。

2時を過ぎてコンポントム州事務所にむかう。電話で確認するも、まだ誰もいないかもなあ・・・とか言ってる。プノンペンの本省もだけど、なんて、なんてのんびりしたところなんだ。2時半ごろ、スタッフがいると連絡がはいり、打ち合わせなどへ。各州に画像のように省のオフィスがあるそうです。本省にはガードマンが24時間いますが、州事務所の入り口では犬がひるね。

そもそも、4月5月の採水、現地スタッフに水を採って送ってもらっていたのは、ここまで出向くのにお金がかかるからで、聞くと今回のガソリン代は同僚の自腹なんだという。・・・ほんとうに大丈夫なのか、いつも思ってたんだけど、この同僚はもしかして給料以上の自腹を切っていませんか。次回からはサンプルは送ってもらうより仕方なく、でも前に送ってもらったサンプルにおそらく採取方法に問題があったから、それを説明して直してもらわなければいけない、とのことで、今回は出向いたそうな。画像、大量のスチロールボックス(注2)は今後の採水用に現地の事務所において帰るためのものだったのね。

打ち合わせが終わり、同僚が、今日はもうホテルに入って、ひと休みしたら「そんぼぷれっく」に行こう、という。近くの湿地帯か池かなんかか?と、「そんぼぷれっく」がなんだかわからんまま、とりあえずたいていのことにはうなずく。出かける間際、先に土地利用調査のために降りた同僚から、今日はコンポントムにむかう、と言う連絡が入った。どうやってくるの?と聞いたら、道の途中でバスを拾うんだよ、という。あいつはそんぼぷれっくに行ったことがあるから、俺たちだけ行けばいいんだ、と2人で車で向かう。

しばらく国道をプレアヴィヒアの方向に走り、看板を指差されてやっとわかった。そんぼぷれっく、と私の耳に聞こえていたものは「サンボープレイコック」でした。森林の中の寺院遺跡郡です。そうかそうか、わたしは観光に向かっていたのか!定点採水についてきたい、と駄々をこねた結果まさかの遺跡見物。せっかく来たんだから何か見所へ連れて行ってやらなければ、という同僚の優しさが垣間見える。この国の人のホスピタリティは、そんなこと本人たちは意識せずにすごいんだよなあ、といつも思う。せっかく紹介してもらった遺跡の話は、せっかくなので日を変えて。ではまた明日。ああ、ぜんぜん水汲んでない!

注1 コンポントムとコンポンチャムはプノンペンからアンコールワットのあるシェムリアップに向かって、ちょうど中間点くらいにある町です。今回の地方採水はトンレサップ湖に合流する河川の採水ということだ。ちなみに環境省での地方採水は2年ほど前から毎月データを取っていて、今回行く2州のほかにもいろんな州から試料が集まってきます。
注2 水を入れて保冷のために発泡スチロール箱で運ぶ。こちらのには長持ちさせるために発泡スチロールにビニールテープで全面補強がしてあります。これは買ってから巻くんで無くて、売ってるときから巻いてある。テープ巻き職人とかいるのかな・・・?ともかく、だからカラフル。