論文投稿とインターネット

昨日書きあがった原稿に図表をいれ最終調整し印刷して、イントロダクションにカンボジアの統計情報を追加してね(人口の情報とかその増加率とか経済成長率とか)!と若手君に渡したのが昨日の午後5時。今朝、8時半に職場にやってきた若手君から英語の校正が終わり情報が追加され、図やテーブルのミス、フォントサイズから段落のスペースの不均等などまでチェックの入った原稿を返されました。

・・・君は本当にできる子だな!すごい!めっちゃ褒めなきゃ!と思ったけど、そもそもこの原稿は君がファーストオーサー(注1)なわけだ。最後の章、測定データのファイルの整理と、参考文献の拾い上げがあまりに負担大だったので(作業も説明も)私が書いたけど、これは君の論文だからさ、私は感動している場合ではなく、彼に最終調整や結論などはまとめてもらわなくては。褒めている場合ではない。昼は通常業務をこなし、帰宅後に私からの依頼を完璧にこなしてきてくれたことに相当感動したけど、よし、じゃあ電子ファイル渡すから修正したとこ自分で直してよ、私は図表を直すから、そこで、PCは?と聞いた。

・・・ええー、PCもって来てないよ!
・・・ええー、元気良く言うんじゃないよ!

なんでパソコン持ってこないんだよう!(注2)仕事にならないでしょう!というと、えー、だって重たいもん、と。そりゃあ君たちの持ってるラップトップは相当重たいけどもさ、リュックに入れてバイクで通ってるんじゃん。わたしはレッツノートだけど歩いて通っている!それにインターンシップの学生のみんな、リュックに君のよりさらに重たいDELLのPC担いできてんじゃん、というと、だって若いもん、と。その言い訳世界共通か。歳なんかいくつも変わらんだろうがよ!

すごく感動したのにその直後にご立腹。でも怒っても仕方ないっていうかそもそもPCが配給されてなくて全部自腹で購入し自分で運んで使ってるあたりに問題があるんだよな。職場にPCがあれば使う、使えば覚える。その昔国立大学に政府が全教員分PCを配備したとき、PCに縁もなかった文系の先生がプレインストールのゲームしかしていなかった時代を知ってるけど、そのときはソリティアに興じる世界史専門の助教授を見て、無駄金?!とか思ってたけど、それでも全部に配備する意味があったんだろうな、となんとなく今なら思う。まあ、無駄金?とか言える様なご身分でない、働いてもいない歳の時の話だ。

若手君には、これを使ってください、とレッツノートを渡し、修正を始めてもらうが今日は「インターネットにつながらない日」らしく(注3)若手君がもともと調べて来てくれた国の調査局のサイトや資料の名前がネット経由で調べられない。つながらないねえ・・・と二人途方に暮れる。

まあ、どうにかなるよ、午後に私のモデム持ってくるよ!ということで、語句修正と入力をしてもらっていたら、人が集まってきてラボの実験が始まってまた若手くん取られた。修正は今日も持ち帰りか・・・?結局締め切りぎりぎりか・・・?投稿ページの開設時間はどの国の時間だ・・・?
結局締め切り日の前日に二人とも投稿しました。前日に投稿なんてすごい!自分ではすごい用意周到な仕事ぶり!と思うあたりがたぶんだめな社会人です。

注1 論文というのは大体、何名かで書いた形式になっていてね、初めに名前がある人は一番その仕事に詳しい人です。・・・説明が雑ですがまあそんな感じ。責任者はコレスポンディングオーサーというのが居て、初めの人とは限らないので、責任者です、とはいえないのですね。その後に名前が並ぶのは共同研究者でいろいろな作業を分担している人です。はじめから順番に論文に対する役割の多い人を並べますが、一番後ろに偉い人の名前が来ることもあります。
注2 職場には装置につながっているコントロールマシン以外にPCは2台しかありません。そもそも前日渡したのがプリントアウトしたものなのもそんな事情。職場の半数くらいの人は、基準はわからないのですがたまにPCを持ってきてたまに持ってこない、ということをします。若手君はPCにも明るいし比較的持ってきているほうだな。
注3 最近知ったのですが私のラボは、隣の研究室のプロジェクトがプロジェクト予算で民間と契約しているラインに乗っかっています。それはつまり、プロジェクトが終了したら、どうなるの・・・?というわけで、そもそもPCを自分で持ち込んでいる同僚はモデムも自分で契約しているものを持ち込んでいます。インターネット環境がその日暮らしだ。画像は私の仕事に活躍のPCたち。横に撮った写真がなぜか縦にアップロードされる不思議がPCで起こっているけどどうしてなんだかわからないのでそのまま放置。