市場シリーズ 名前には歴史が・・・あるのかな?

プノンペン市内にはいろんな市場があります。クメール語では全部プサーですが、いわゆる「市場」という印象のそれから、「スーパーマーケット」「デパート」までいろいろ。そうか、日本語が細かいのか。とにかく、今日はそのマーケットの名前について。

プノンペンで一番有名な市場はおそらくセントラルマーケットだろう。セントラルマーケットはクメール語で「プサー・トメイ」。プノンペンは計画都市で、道路はこのプサートメイを中心に放射状に伸び、環状に道路が配されグリッド状の街が形成されています。まさにセントラルマーケットは中心なわけですが、ただし「トメイ」というのは中心、とか真ん中、という意味でなく、「新しい」という意味です。新しいといっても作られたのは1937年だそうです。すごい歴史あるじゃん・・・。

でもまあ、となると対応する「古い」があるわけです。こちらは「プサー・チャー」英語ではオールドマーケットです。プサートメイが中心市場になるまえの中心市場だった場所で、変わったとはいえ市場はそのままあり、観光客相手の市場でなく地元の人が普通に使う市場で活気ある場所です。このプサーチャーの近くにはプサーカンダールもあります。こちらも地元の人が毎日の買い物に使う。野菜や肉、魚をお母さんたちが買うのに、冷蔵庫で長期保存の習慣のないこの国では、場合によっては毎食の買出しをします。

さて、これまでプノンペンの市場の話をしましたが、カンボジア、と聞いて日本人が一番にイメージするのはアンコールワットじゃないだろうか。アンコールワットがあるのはプノンペンから北西に300キロほど離れたシェムリアップという都市の近くです。もちろんシェムリアップにも市場があります。そしてアンコールワット観光に訪れたことがある方は、シェムリアップの街の市場の印象で、「ん?プサーカンダール、カンダール市場が英語でセントラルマーケットじゃないの?」と思うかも。それであってます。直訳をすると、プサーカンダールがセントラルマーケットです。クメール語で中心、真ん中をあらわすのは「カンダール」。プノンペンは特別市ですが、その周りを囲むカンダール州、たしかにカンボジアの真ん中当たりといえなくないか・・・な・・・?とにかく同じ名前の英語訳が違うのはややこしいのでやめてほしいよ、と思うわけですが、なんでこんなことになったのかはけっきょくわからずじまい。

プノンペンの市場に戻って、私がいつもつかう市場はプサーカプコー(注1)。かふぇタイムに同僚が言うことには、このカプコーという言葉の意味は「牛を殺す」という意味だそうで、まさかのそんな意味だったとは、という感じに。同僚の話では、昔動物の処理場があったんだないかなー、とのことでした。エリア的には比較的高層のアパートも多くきれいな中にぽつんとある古い小さな市場だけど、かなり昔の地名が残ってるってすごいなあ。クメールの名前と英語の名前が一致しない市場、という意味ではプサートールトンポーンもそうです。英語ではロシアンマーケット、クメール語の意味は同僚もわからないとのこと。少し高い場所(丘という意味か)が言葉の一部にはあるような気がするけど・・・といってました。

今日は市場シリーズ、市場の名前編(あ、タイトルと違ってる)だったけど、市場に限らず、地名や言葉の作られ方は結構おもしろい。たとえば最近のなるほどはエアコンが「冷たい機械」だったこと。そりゃこの国でエアコンの暖房機能は使わないもんなあ(注2)。

注1 画像はプサーカプコー、わたしがいつも野菜をかうおかあさんのお店。野菜のおかあさんと肉のお母さんはだいたい買うものをわかっているので今日はこっちがいいよとか教えてくれます。八百屋さんはたまにおかあさんと娘の2人体制。
注2 カンボジアでは車のエアコン機能に青色(冷やす)と赤色(暖める)の両方があるが、インドネシアでは車に青色しかないそうです。でもたしかに、カンボジアで車の暖房機能って使うことあるか・・・?と思ったが、この季節でも裏起毛のパーカをきてバイクに乗っている人はいるので(もちろんカンボジア人だ)、外国人にはわからない気候への対処があるのかもしれん。