トンレバディでバタフライ

先日の日本人訪カンボジア期間の一行には、大学教授一行のほかにうちの学生と引率教員の一行もいました。先にも少し書いたのですが、私の所属学科は土木建築の学科なので、学生も当然そのあたりを学び、将来の仕事として目指す。学生たちのカンボジア渡航目的は夏期休業中に行われる企業インターンシップを海外で、この場合はカンボジアで、行き先はカンボジアのゼネコンにしよう、と言うものです。月曜からインターンシップが始まるので、その前の週末にプノンペン入りした彼らは週末はフリー。

普段プノンペンで生活していても日本人の知人が片手で足りるほどしかいない私は、日本からたくさん知人・学生があつまっているのでせっかくだからみんなでお出かけしたらいいじゃない、と思い、休日を一日つかってプノンペンから50キロほどに位置する観光地へ。いま私が提案したみたいな書き方しちゃいましたが実際にはカンボジア人の友人が、1日だったらプノムチソー(遺跡)とかトンレバディ(湖)とかタマウZOO(保護区の野生動物園)に行けばいいよ!と提案してくれたものです。そりゃいいな、と乗っかった。学生への英語聞き取り練習のためにその友人にガイド代出せないけどくる?って聞いたら、子どもつれてってもいい?というのでもちろんもちろん、と大量の日本人とカンボジア人一家の不思議旅。

プノムチソーは山の上、小さな遺跡でさほど人も多くなく静か。ただすごーい階段を上った上にあるので、到着したときになんか遺跡見物する元気がないくらい疲れている。景色はすごいけど、ほんとうに、絶景!でも疲れてる。小さな遺跡だけどアンコール遺跡群がこじんまりした感じで見ていて楽しい。額縁型になった通路の窓に学生を2人ならべ写真を撮っていると、車の手配をしてくれた旅行代理店の日本人女子が「どうしてあの学生さんたちあんなに従順で素直なんですか・・・?」と聞く。「私と同じくらいなんですよね(年が)。大学に行ってる友人たち、あんなかなあ・・・??」と。わたしが、ほい、そこにならべ、はい、あっち向け、といろいろ言ってたからだけど、たしかに考えてみるとうちの学校のこどもたちはみんな素直でまじめだ。なんでかね・・・?私が横暴だから・・・?

遺跡観光を終えてタマウ動物園でワニやら鹿やら象やらみて、ご飯をたべにトンレバディの涼み小屋へ。湖の上にたつ小屋に、丸太の2本橋を渡ってゆき、ご飯をたべ、飲み物をのみ、ハンモックに揺られながら湖を渡ってくる風に吹かれる。至福の時間だなー。カンボジア人の友人一家のちびっ子たち(6歳と4歳)はご飯を食べ終えたら周りの涼み小屋のちびっこたちと湖にダイブ!こどもは水があったら飛び込むようにできているんだな。

そんなのを見ながら話していた最中、トンレバディの水も汲んで持って帰って測ろうよ、という話になる。水を入れるのはペットボトルでも大丈夫だ。さて、そうなると問題は、誰が、どうやって汲むか、だ。ここで白羽の矢が立つのは先の従順で素直でまじめな若者たち。・・・水汲みに湖でバタフライするかい?いやいや、強制じゃないよ、でもトンレバディでバタフライは、ガンジス川でバタフライ、と同じくらい就活のネタになるかもよ(注1)、という何の根拠もない話を学生に吹き込む。まあ話しながら断るだろうと思っていたのだが、まさかの「いや、けっこうやってみたいです」という返事。結果的に2人の学生がじゃんけんして一人が水汲みに出たのだが、出なかった方の一人は「実は俺泳げないんですよ」というびっくり発言をかましてくれた。いや、泳げないならじゃんけんに参加するなよ!「浮き輪あるし、なんとなく・・・」君は次からなんとなくで危険な賭に出ないように。タイヤチューブの浮き輪を子どもから奪い、学生に渡して湖に水汲みに乗り出してもらう。バタフライじゃなかったけど水を汲んでペットボトルをこちらに向けて掲げる若者がごっつい笑顔で、水汲みに行けよ!と泳がせたのになんかいいことでもしたような気分に。貴重な体験という一言ですべてを済まそう、そうしよう(注3)。

教授一行も学生一行もそれぞれの滞在を終えて日本に帰っていきましたが、教授は今年の秋から冬の再訪を約束してくれ、学生たちも、インターンシップ終わったなら強行日程だけどアンコール遺跡行く?という提案に「またくるからいいです!」という言葉を残して日本へ帰っていきました。一度来た人がもう一度来たくなる国や場所にいるんです。それはとってもうれしいよ。

注1 映画にもなった「ガンジス川でバタフライ」という旅行記(?)実は読んでません、すいません。映画もみてません。すみません。
注2 画像上、ビーサンに短パンと言うお気楽な格好で登山をしているのはもちろん私です。みんなちゃんとスニーカーにリュックに帽子です。私のかっこ友人ところの4歳児とかわらんがな。疲れすぎて遠い目をしている。画像中、山の上の遺跡、風が吹いて気持ちよかったけど暑かった・・・。画像下、若者たちはこれから泳がされます。そんなこと知らずに水小屋に丸太橋を渡る。
注3 某歩き方の旅の注意の項では、プールの水にも注意、水道水での歯磨きにも注意?ということが書いてあるとかないとか。というわけで湖での遊泳を推奨するわけではありませんが、川も湖もまあやってみりゃたのしいよ。こっちの人はちびっ子をのぞき基本的に着衣水泳。

私信 せんせー、写真使わせてもらいました!ありがとうございます。バングラディシュ出張お気をつけて。