本日も停電

朝、職場に来たらPCの電源を入れ、UPSの主電源を確認し配電盤からGCMSへの電源をONにする。GCMSへの電源のPCを立ち上げ、キャリアのガスを流し、その後GCの電源を入れる、タッチパネルを確認してMSのピークの電源を入れる、しばらく待ちコントロールソフトを起動したらポンプを動かし排気する。

ここまでが毎日の流れ作業です。これをやってから調整など経て、1から2時間ほどして、装置が使える状態になります。

なります、なるんだけど、たとえば今日のように9時にぱたりと停電が起こったりすると、状況は一変。隣の部屋ではUPSがぴーぴー騒ぎだし、奥の実験室では「おう!」という叫び声が聞こえる。薄暗い中日本人の先生にもらったヘッドライトを首に提げ(注1)、GCMSの温度を下げるかあるいは真空排気を停止してから実験室に向かうと、同僚が電話のLEDライトで実験をしている。こちらの電話には、ボタン一発のLED照明がついていることが多い。あれは暗闇の階段とか非常によい、日本の携帯にもあの機能ほしい。それは余談として、同僚はLEDライト de 滴定作業!(注2)にもなれているかもしれないが、こちらはいつ終わるかわからん停電のあいだUPSが持つ!というハイリスクな賭に出ている訳にはいかないので、おとなしくGCMSの電源を落とす作業。

電源を落とし終わって、よし安全、となったところで停電が回復したりすると、「むっきゃーー!!」となって今日の作業はもうしたくないよ!と言う気分にもなるが、ずっと停電のままなのもそれはそれでこまる。今日の停電は比較的長かったので、10分くらいしたところでチーフが言う。

「よし、かふぇに行こう。だって停電だし。」

そうしてみんなでぞろぞろとコーヒーを飲みに。仕方ないよね、だって停電だもん。私だって今日は標準液作る予定だったけどさ、薬品10mg測りたかったけどさ、測れないもん。停電だもん。電子天秤動かないもん。ものの重さ量るのと電気と、全然関係なさそうだけど、電源は入らなかったら重ささえ量れないの。カフェで同僚とコーヒーを飲んで、10時半、オフィスに戻る。電気が戻ってエアコンも戻って、さあ実験再開しようか、となるけどしばらくして11時過ぎたら、そろそろご飯でもいいんじゃないかな?と言う雰囲気が広がり始める。

停電はしかたない。でも停電は、とくに朝の停電は、全体的に仕事に支障が出る割合がでかいので、電力会社の(いや会社ではないか?)、頼むから停電は午後にした方がいいんじゃないかな。でも今日の午後は標準品作るから、電子天秤使いたいから停電しないでね。

注1 停電対策ではなかったはずなのだが、先日日本人の先生にいただいて装置の掃除などするときに内部の観察に便利なので重宝していた。停電が起こるたびに首からぶら下げ奥の実験室に向かい同僚に貸し出している。画像はヘッドライトと職人芸の同僚。
注2 暗闇の中片手で器用に滴定作業をする同僚がちょっとすごい、とおもった。滴定作業では細長いガラス管に入った薬品をコックをすこしずつ回して下に置いたガラス容器に垂らしながら、ガラス容器を揺らして回します。こう書いただけでコックをひねる手とガラス容器を回す手が必要だろう・・・?