濃度計算迷路

濃度計算は得意ですか?私は苦手です。苦手ですが好きです。濃度計算をする機会も多いのでたぶん苦手ではあるけど比較的出来る方だと思います。と思い上がっていたらとんでもないミスをやらかした。

今分析に使っている標準液(濃度のわかっている液体)は3種類。これを組み合わせて検量線を引く標準液を作るんだけど、5段階(0.05から1.0ppm)の目的物質の標準液(A)を作り、それに2種類(それぞれBとC)の別の標準液を加える形で検量線用標準液を作っていた。試料の量が1ml、これに10ppmのBとCをそれぞれ10マイクロリットル加えると、試料中のBとCの濃度はおよそ0.1ppmになるはずである。BもCも同じ量入っているので、おおよそ同じくらいの量が装置分析で検出されるはずでした。具体的にはPCモニタにBとCのピークがぴこーんと同じくらいの高さで出るはずでした。

ところがだ、実際測ってみたら、BはAの0.1ppmと同じくらいの高さで出るのにCは全然小さい。値は取れているし安定しているけどめっちゃちいさい。一番小さい0.05よりまだ5分の一くらい小さい。なんで?おかしいでしょ?となったときに疑うのは、自分で作ったCがうまく作れていないことだろうな・・・と作業過程を見直す。

10mgのCをヘキサンで50mlにする、これで2000ppmの原液が出来る、これを0.25ml使って50mlの標準液を作る、その濃度は10ppmになる。

これが私のした作業。一瞬でどこが間違っているかわかった人は、きっと濃度計算の得意な人です。まあ、一番はじめから間違っているんだけどね!10mgのCを50mlにメスアップしたら濃度は200ppmです。一桁おかしい。だから2.5ml使ってやっと10ppmの標準液が作れるんですよ。と言うことは私がはじめに作っていたのは、5段階の標準液に0.1ppmのBと0.01ppmのCが入った液体です。

・・・おおーすごい、0.01ppmはちゃんと測れるんだねえ・・・しかもかなりの精度だねえ、と感心している場合ではなく、ちゃんとした濃度で検量線用溶液を作り直さなくては。幸い正しくは200ppmの液体が50ml近くあるわけで作り直しは簡単だ。

今回は計算しなおしたときに、わたしのおちゃっぴいな記憶の中で、2度目の希釈で2.5mlを測った覚えがないな・・?ということと、測定結果のグラフはどうも一桁おかしいような気がする、と言うことからこのミスに気がついたけど、そして解決したときにすごい充実感で、あー楽しかった!とか思っちゃったけど、そもそもデキルひとはこんな計算間違いでのミスを冒さない。

どんなに慣れても、すこし気を抜いただけで濃度計算は迷路。問題解決能力があったことを喜ぶべきか問題作成能力があることを憂うべきか。えー、とりあえず以後気をつけます!

注1 ppmは百万分の一の濃度単位です。たとえばmg/Lとか、μg/mLとか。今回のCはフルオランテン-d10なんですが、フルオランテンに限らず内部標準に使っているd体が現状の分析ではリテンションタイムちょっとずれで検出されていてTICでも重なっていないことに気がつきました。そうだったのかー。困ってはないけどこれはカラムの性能?どんな理由?というちょうど今持っている疑問をここで書いてみるテスト。これにお返事いただける人がいたらそれはそれでびっくりしますがもしわかる人がいたら教えてください。画像は私を悩ませた標準液たち。
注2 そして今回の記事は自分で書いていてすごく楽しかったけどだからあっという間に書き上がっていたんだけど、読んでる人は全然おもしろくないだろうな、とわかっています。たまに書きたいことを書く!これは同僚にあてたメールのようなことです。
注3 でもこの内容だけなのもあんまりなので、プチカンボジア情報。現在もカンボジアは国で喪に服しているんですが、プノンペンの洋服店では珍しいものを見ます。ショーウインドウに並ぶマネキンの服が軒並み白と黒になり、胸に喪章を付けているのです。王さまを偲びたい、でも営業はしないと、というお店の人の気持ち。