才能と努力と

 カンボジア地方部めぐりから戻って参りました。いやー、よく乗った。色々乗った。車とバイクと船各種。地方部巡りについてはおいおい書きます。なかなかおもしろいし一回調査にでるとわかることは本当にいっぱいあるんです。実際時間はそんなに効率よく使えないし、無理もしてはいけないが、一回行く、それだけでわかることが本当にたくさんある。いくら同僚に聞いても、電話で聞いても、ネットで調べても駄目。行かないとわからないのだなあ。そりゃあ使う感覚の数がちがうよなあ。

 今日は帰ってきたけど国民の休日なので役所は休み。当然同僚は来ません。。。と思っていたら、金曜まで一緒に旅をしていた同僚は今日もサンプリングにでていた。さっき電話したら、今フィールドだから!後2時間くらいで帰るから!と言われた。この同僚、先週の調査中も、実は締め切りの迫った書類が有りプノンペンに帰りたくて仕方が無いでいたのだが、電話問い合わせにて一転、申請の日程が延びたと言うことで滞在先のクラチエでとても一生懸命、いろんなアレンジをしてくれた。私と日本からの教授はその後土日にも調査をしたのだが、さすがに付き合わせるのは酷だ、と御願いしなかった。今日も調査にでているのか、、、を知り、土日に無理を言わなくて良かった、と思う。

さて、調査の報告の前に最近の雑感を一つ。自分は中学校から何年英語を勉強しているんだろう、でもどうして話せ無いのかなー、と思ってた。カンボジアに、英語と日本語の読み書き会話、タイ語とフランス語、韓国語の読解と聞き取りが出来るカンボジア人の知人がいる。もちろんネイティブはクメール語だ。大学時代にも、大概の言葉は2ヶ月くらいでなんとか話せるようになる、というモンゴル人の友人がいて「語学って言うのはセンスなんだな、出来る人はなんかものすごいできるもので、その才能が私には無いなー」とそのくらいぼんやりに思っていた。

 ところが、先の知人が、私が日本の友人から借りた日本語の漫画(注1)を読む方法に驚愕した。彼は漢字もかなりの数が読めるのだが、当然難しい字はわからない。ではどうするのか。まず漢字を一文字、画数を数える。画数検索で読み方を調べる。それを和英辞典で意味に直し、漫画のセンテンスに戻る。熟語なら手間は2倍、3倍。本当にすごいんだよ。まず「将」の字の画数を数える。10画。電子辞書の画数検索をつかい、何十とある10画の文字の中から同じ形のものを見つける。「しょう」という読み仮名を書き留める。次に「棋」という文字の画数を数える。12画。同じように形で「棋」を見つけ「き」を書き留める。つなげると「しょうき」これを和英辞典に入れる。でも「しょうぎ」じゃないから出てこないこともある。国語辞典にもどる。「しょうき」をいれて、多数の選択肢からから「しょうぎ」という読み仮名だと知る。もういちど和英辞典。「将棋」=「しょうぎ」=ゲームの名前。ここまでやって、やっと、「あー、この漢字は、この漫画のゲームの名前だね!」という。当然1ページ読むのにすごい時間がかかる。その確認までにイライラしないのかと。わたしだったらどこであきらめるだろう。言葉を学ぶためにこの人はこの努力を何年したんだろう。私勉強してないなあ。ほんと、学校に通っていただけだ。私はただ、「英語の授業がある環境」にいただけだ。

こうやって、ずっと繰り返して、やっと勉強している、話せるって言うんだな。できるひとはそれに見合った努力を絶対にしている。なんでできないのか、なんて簡単にいっちゃいけない、それは勉強していないからだ。勉強の意味を全然わかってなかったんだなあ。こちらのひとは、若い人が希望をもって本当によく勉強する。その姿勢に、なんか色々ごめんなさい、という気分になった。私もがんばろう。

注1 これでなんの漫画家わかったらすごいけど将棋の漫画は結構たくさんありますね。今回は三月のライオンです。おもしろいね!
注2 画像は美味しいご飯シリーズ、調査にでていた時の朝ご飯です。毎日内容を変え毎日クイティウをたべました。画像は牛肉の平打ち麺と豚肉の細麺、どちらも米の麺です。もやしをたくさん入れて、チリとライムなど好きに味を足してたべる。牛肉のクイティウは薄切りの生牛肉に熱々のスープがかかってやんわり火がとおり大変美味。クイティウ屋では麺の種類を色々選べますが、わたしは黄色の中華麺より昔ながらの米の、とくに細麺(グラスヌードル)が好きです。