集中講義とご報告

いい加減食べ物の話に飽きてきたので、仕事の話。1月に入ってからいつも通り水を汲んだり測定をしたりする間に、同僚を集めては集中セミナーをやっている。鬼教官です。簡単に家に帰れると思うなー!装置の使い方、分析データの取り扱い方を説明するために、上司にプロジェクターを借りてきて、PCをつなぎ、各自の家からラップトップを持ってきてもらい、対応のソフトをインストールして測定室内にプチ講習室を作り、朝から晩までほぼ毎日。ラッキーなことに正月明けだからなのか中国正月との境目だからなのか、同僚の通常の請負仕事がなぜかほとんどないのだ(注1)。

同僚たちは私のしている仕事に関しては、縄張り意識がない。自分だけ知識を溜めようと言う気も、人のことだから手を出してはいけないと言う気も無いらしく、みんなで机(正確にはラップトップ)を並べて、わからないところは教えあうし、わたしの英語が通じない同僚にはすぐにクメール語通訳を入れている。いや、英語が通じないんで無くて私の説明の英語がひどいのか・・・?とにかく、良く助け合ってくれている。説明する人は、説明を聞くだけよりずっと理解が深まるし、私から聞くよりカンボジア人同士、同僚の方が説明が旨いという事情もあったり。

説明を初めて気がついた、喋っていることがわからないからか、私語が全然気にならない。私が喋っている間でも、何かクメールでぶつぶつ言っているが、でも、関係ないことを話しているわけでは無く、私の説明でわからないことを即座に隣の人間に聞いているのだ。日本で、学校でやってたら、「説明聞いて無くてわからなくなっても知らないよ!」と、なりそうな場面だが、私が全然気にならないので、途中で私の話を中断することも、同僚同士で相談することも、教え合うことも、全員声をそろえて「なに言ってんだかわからないよ日本人!」ということも、どんどんしてくれ、と言う風にしたら、誰も脱落しなくなった。私語をしていることはそのまま情報交換になるので、互いが、誰がどのくらいわかっているかを知っているから、お互いの作業の進み具合をみてフォローを入れる。なんて楽ちんな講習現場なんだ・・・と、もうほっといてもいいんじゃね?と思ってたら、理解が進むにつれて質問がめっちゃ増えだした。わたしは適当な人間なので「そんなことわからん!自分で調べて!」と簡単に言います。

だって私ここで、先生じゃないもんね、と思っていたんだけど、お昼を一緒に食べに出たとき同僚に、「俺はおまえがいなくなったらさみしくなるよ。さみしくなるとおもうよ。きっと、おれのせんせいはどこだ、と思うよ」と言われた。原文ママ(直訳という意味です)。おお、なんか先生と認識されてた。わたしはここで先生じゃ無いよ、みんなこの国のプロフェッションなんだから頑張ってやってくれい(注2)。ちなみに先のことを言ってくれた同僚は「あいつはどうだかわかんないけどな!(あいつはさびしいか知らないけどな、の意味)」とも言っていた。おい、最後に自分の同僚を下げなくって良いから。

というわけで読んでいただいている皆様にご報告。わたしもうすぐ日本にかえるんですよ。そうなんですよ。だから今、最終報告(省内で報告会をやれと言われた)の準備などで、もー絶対間に合わない!むきー!と、ゾンビのようになっているのですが、ここにも連絡をしなければいけないと気がついた。このブログはあの辺で雨が降っているよ、というカンボジアでの滞在を伝えるブログなので、日本に帰ったら終わりになるのです。そんなわけでおそらく更新はあと数回。でも上記の様な理由で超多忙なので、最後にやっぱりご飯ネタをいくつか書いて終わりにしそうな感じです。とにかく、あと数回よろしくおねがいします。

注1 請負仕事、まるっきり無いわけじゃなく、もちろんあるけど、同僚は9時から5時まで講習を受け、その後で分析してました。ハードワーク。
注2 先日、なんだかしらないがえらく盛り上がり、公務員のしごととは!から、政府とは!国のあり方とは!行政の役目とは!研究者の仕事とは!みたいな話を実験室で、まるで government of the people, by the people, for the people ・・・よろしい勢いで同僚として(なんかちょっと拳とか振り上げてた)、最後に、でもおまえ帰っちゃうしな・・・と言われた。いや、カンボジアのことはカンボジア人がやろうよって今話してたでしょ!それが一番この国の役人に足りない意識な気がするよ。画像はそれでも超真剣に講義を聴く同僚たち。