島に渡るよー

仕事で煮詰まりくさっていた休日、カンボジア人が見かねて近場に観光に連れ出してくれた。そりゃ定期的に研究室で奇声を上げてれば、コイツはやばそうと思うよな。

プノンペンは先にも書きましたが、メコン、トンレサップの合流地点にあり、二つの川はぶつかったあとまた2つに分岐していきます。その川岸、チャトモックという地名がありますがこれはカンボジア語でそのまま4つの川がぶつかるところ、と言う意味。ちなみにトンレサップは、トンレー=川、サップ=しょっぱくない、と言う意味です。淡水ってことだな。話がそれましたが、プノンペンから少し北上したあたり、メコンには島がいくつか浮いています。

どの島にも橋は架かっていません、ので船で渡るのです。で、さて、あの島に行こう、あの島に遊びにいこう!と。聞くと島の北の端はビーチのようになっており、水遊びが出来る涼み小屋が建っているが、今月までが限界で、来月には水位が上がって水に沈んでしまうと言う。そうか、それはぜひ行ってみよう。メコンで水浴びはそんなにしたくないけど、涼み小屋で昼寝はしたい。そんなわけでコッダイという島に渡りました。

チュロイチョンワー橋(注1)を渡り、6号線を北上、しばらくして船着場につく。船着場って言うか、、、護岸を船に乗れる位置まで坂道作っただけだわね。すごい傾斜。人も、モトもトゥクトゥクも車もみんなばんばん積み込んで、向こう岸までは10分もかからないくらいか、ミルクティー色したメコンを渡ってゆく。なんかすでにほんわりのんびりするぞ。

岸から北の端のビーチまで、向かう道すがらにカタン、パタンとそれぞれの家の軒先から音がする。コッダイは織物の島なんだという。高床になった家屋の地上部分ではどの家も機織りをしているのだ。ちょっとお邪魔してみせてもらう。お姉さんが華麗な手つきで機織り。きれいに並んだ縦糸に、竹の棒に巻いた横糸をセットした杼を通していく(注2)。これであの縦と横の糸の色が違う玉虫色のシルクやコットンが出来上がるんだな・・・きれいだー。一日に進むのは4メートルくらい、こちらの人の着るスカートのようなもの、2着分だそうです。

島の端のビーチはプノンペンからやってきているのかたくさんの人でにぎわっていて、涼み小屋でご飯を食べたり、カードゲームをしたり、昼寝をしたり、タイヤチューブで浮きながら水遊びをしたりしている。地元のちびっ子はちょっと大きいおにいちゃんに水の中にほうり投げてもらって歓声(奇声?)をあげているし、地元の犬は観光客のご飯のおこぼれをもらうべく水中で待機し、鶏肉を川に落として恨めしそうにしている。
気温は高く日差しも強いけど、竹で作った涼み小屋は川の中に設置されているので、気持ちのいい風がすうすう吹いていく。

涼み小屋でしばしのんびりした後(本気で寝てしまうと、気がついたときに日が当たっていた一箇所だけ日焼けして危険!)、島の中を少しぐるぐる走ってもらう。コッダイは結構大きな島で、島の道はぜんぜん舗装されていないので、全部回るのはちょっと大変です。さらに雨など降るとほんとうに大変らしいですが、赤茶けた土ぼこりの上がる中をバイクで進むと、一面のトウモロコシ畑、ニッパヤシ、草を食む牛、プノンペンからこれだけの距離で田舎の風景そのものです。突然あらわれるお寺、隣の学校とそこで遊ぶ子ども、小さな商店が並び、一台のテレビで放送されているキックボクシングに熱中する大人(男性)その横でのんびり織物機を踏む大人(女性)。・・・男ども、しごとしろよ!

仕事で煮詰まりくさっているときに家にいるだけだと、休日はしたい仕事が出来ない余計なものでしかないので、気分の変わる小旅行なんてのはほんとうにいいもんだなあ、と思いながら帰路に着きました。ただし慣れてきたとはいえ、一日外で過ごすのはまだまだ危険、帰宅したあとやっぱり熱中症か?みたいなぽかぽか具合。
プノンペンからわずか、島での余暇はいかがですか?メコンはミルクティー色ですが、それも悪くないですよ。

注1 チュロイチョンワーブリッジは日本橋とも呼ばれ(ているのはこちらの人からあまり聞かないけど)1992年に日本の援助で修復されたものだそうです。交通量が多くなっているからか、隣に橋をかけているような?一方通行づつにするのかな?
注2 こちらの機織りは縦糸の幅が1メートル以上にわたって並んでいて、すごい細いのがびっちりみっちり並んでいて、どうやってセットしているの・・・?とおもう。ふしぎだー。本当は織物の工程をもっと見たかったけどお姉さんの邪魔になるし、で少しで退散。やあ、うっとりするきれいさです。
注3 画像、ちゃんと働いてる男性もいます。機織りするお兄さんと、竹の棒に横糸を巻くお姉さん。横糸巻きは自転車を改造した糸巻き器で。