ピペット洗浄器作るよー

ひさびさの作るよシリーズ。実はこの装置、私の実験過程で作る予定はなかったのだけど、同僚が日本で見たものの中であれがほしい・・・と夢見ていたものらしいので製作することに。水質分析では試薬の測定にピペットという細長いガラス管の計測器具を使います。計測器具っていうか・・・軽量スプーンが管になって精密になっているってことだな。小学校や中学の理科の授業でも使うと思います(注1)。

そのピペットと言うやつは細長いので洗うのがめんどう。そもそも計量器具は内部をごしごし洗うわけにいかない。なので何度も水を循環させてあらう、と言うことになります。細長い筒にサイフォンの仕組みが取り入れられ、ちょろちょろ水を流しておくと自動的に何度もピペットの中を水が通る装置、それをラボに導入、それが同僚の夢。

じゃあパイプ屋さんだな!まずラボにある、これが一番長い、というピペットから簡単な設計図を書く。CADとかひけって話ですが(注2)、今回は手書き。同僚と書き込みがしやすいから。同僚にはサイフォンの吐き出し部の構造がどうにも気になるらしく、私の書いた設計図では、これでいいのか、本当にいいのか、とかなり不安そう。・・・これでも水理学の教員のはずなんだ。専門なんだ。うーん、だめだったらなんかいろいろやばい。

で、パイプ屋。出来ることなら透明の物がほしいけど、さすがにそれは無理だった。やたらと頑丈な(つまり重い)水道配管用の水色パイプか灰色パイプ。水色パイプでつくろうね、なんかカンボジアぽいから。山と詰まれたパイプの中からほしいものを引っ張り出す。同僚と、英語からクメール、クメールから英語、と段階を経るたびに怪しくなる情報。とりあえず長さを伝えて、カットしてもらい、その切断面にまったく納得のいかない私と、それを私の表情で感じ取る同僚。「こんな仕事で私が納得すると思ってんのか!」と通じないはずの日本語で文句たれ、自分でのこぎりを引く。お店の人は忙しいので、店の片隅で作業する2人組はまるきり気にされません。好きなだけ自分たちで作業して、好きなものを作って帰ってこれます。ただし暑い。あと日本人は蚊に刺される(注3)。

さて、戻って組み立てて、の間にまた、同僚は、日本で見たあいつにはこういう部品があった、お前のにはないけど大丈夫なのか、という。もうしょうがないので、ペットボトルに穴を開け、ビニルパイプをつないで、実際に水をいれ、サイフォンで排水してみせる。何とか納得してくれたようだ。
で、できあがりました。パイプに穴を開けるのにちっさいグラインダー(このあいだふっとばしたあいつ)でこつこつなんとか、とか、接続部の漏水を防ぐのにゴムをはさみたいと言ったら一瞬で持ってきてくれたけど、明らかにタイヤチューブで、その辺の自転車から持ってきてないだろうね?とか(注4)、シリコン系接着剤を最後めんどくさくなって手で塗りつけたくったら手がシリコンコーティングされてしまいすごい気持ち悪い!とか、もう、紆余曲折ありまくり。でもとりあえず通水。

・・・・サイフォンから水が出てこない!水面が下降しない!何で!自分で水理の教員としての資質を問い直そうかと思いましたが再度確認、うえから覗いていると、サイフォン稼動のタイミングで泡が上がってくる。ああ、わかったぞー、真空になる瞬間に接続部のねじから空気が入り込んでるか、パイプ接続位置と水圧の関係でインプットの水に空気がかなり入っているか。これじゃあ動かん。で、修正して、今度こそやっとやっと完成。
いいんだ、出来上がれば。頼むからこれが活躍するべく実験をしてくれよ、同僚!とはいえとはいえ、できあがったとは言ってみたものの、サイフォンのバルブによる調節がかなり難しくて、これほんとにちゃんと活用されるかなあ・・・。

注1 小学校は今理科って言わないんでしたっけ?中学は理科だよね・・・?高校は化学と物理に分かれるとか?よくわからん。
注2 jwcadを落とそうか、も思ったけどインターネット接続の壁。。
注3 しつこいようだが、どうして日本人(てゆうか私)ばかり蚊に刺されるのか。カンボジア人が刺されないのはもういいけど、欧米人は?コリアンクメールやチャイニーズクメールは?なぞは深まるばかり。
注4 その辺の自転車からは持ってきてませんでしたが、その辺の自転車、バイク修理屋から持ってきていた。カンボジアでは道ばたに、バイクや自転車のパンクを直す店がたくさんあります。ゴムを貼り付けてガストーチで溶かして接着、おわり。だからその店に行けばチューブの切れっぱしなどは一瞬で手に入る。